My Shanghai,Sweet Hourai
1.山から出てきた仙人掌
西方稀翁玉Ver1.003を入手しました。
Verというものの命名規則に則れば製品版なのですがこれは未完成品であり、幡紫竜におけるVer0.99にあたるものです。
実際起動すると製品版となりうる試用版と表示されるものであり、秋葉原のBEEPやメルカリにおいてもこれより後のVerであるVer1.005や1.007しか流れていません。
他のバージョンとの差異もCDケースの形状が違い、MIDI音源がついてないだけでおまけテキストの内容などは同じですし*1。実際ゲームとして快適に遊ぶのならば1.005以降を選ぶべきですから。
2.仙人掌ステーキの中身
まぁそんなことはさして重要ではありません。私が入手し着目したのは稀翁玉のフォルダ内にあるおまけテキストについてです。
本作品の楽曲制作はAmusement Makersの先輩としてZUN氏が関わっているのは有名な話でしょう。そして稀翁玉においてZUN氏は関わった曲についてのコメントやゲームミュージックに関する思いなどを東方幻想的音楽のテキストのような形式でおまけテキストに残しているのです。
そのテキストファイルの名前はZUN「創曲幻想」であり更新日時は2001年12月27日と上海幻夜が刊行された10月から2002年に頒布される東方紅魔郷と蓬莱人形の間の貴重な記録となっています。
本テキストは文字列検索で検索しても数件の海外wikiしかヒットせず、日本国内では私を含めてわずか数件しか言及されていないモノです。
そんなテキストの内容ですがわざわざ記事に書くほどの内容です。下記に全文を示しておきます。
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創曲幻想 ~ Alice in Shanghai Land
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前略 ZUNです。あとがきです。おまけです。おまけにもくじがあります。
無用の長物です。■0.おまけのもくじ
1.あとがきのはじめに
2.創曲裏コメント
3.妖怪萌え
4.What is Game Music. ~ VGM幻想
5.あとがきのおわりに
■1.あとがきのはじめに
初めましてZUNです。初めてじゃない方はお久しぶりです。
お久しぶりじゃない方は初めまして。今回も曲を作成しました。
あと、1キャラだけ繪を描いています。どれだか分かるかな?
って、分かりすぎです(^^;(一つだけ絵柄が...)それともかく、今回の曲はいかがでしたか?
少々曲数が少ないですが、その代わり、一曲のループも長く、ウェイトが
かなり高いです。いつもに比べて若干大人っぽい(と本人は思ってる)曲
に仕上がったと思います。そおいえば、いくつかの曲は体験版でもありましたが、今回はまた大きく
変わっているため、新しい曲として聴いてもらえると吉。それから、wav 版と midi版は全く別物です。
midi版を SC-88Pro で再生しても wav 版にはなりませんので、是非とも
wav で聴いてください。いやほんと。
(逆に midi版を聴くのも新鮮かも(^^;)
■2.創曲裏コメント
では、いくつか曲に対しての裏コメントを1.稀翁玉 ~ Fairy Dance
なんのコメントも無いんですが(^^;
この曲、思いつきで弾いていたらいつの間にか出来ていました。
きっと妖精さんのしわざに違いない。きっとそうだ。
妖精が襲ってくるー。というわけで Fairy Dance2.天鵞絨少女戦 ~ Velvet Battle
「びろおどしょうじょせん」と読みませう。ええ、そうしませう。
曲は曲名と一切関係なく(ぉ、フュージョンをっぽいところも
あります。
完全に趣味ですね(笑)3.Castle Explorer -in the Sky-
前作(秋霜玉)のゲイツの曲は、「天空アーミー」でしたので、今回
は「天空城」です。(ですって言い切られてもなぁ)
キャラ的に全然合っていないところがポイント。
この曲も、思いつくがままに、お酒に飲まれるがままに、弾いてい
たら出来ていた、って曲だったなぁ(^^:
それじゃ、キャラにあわんわな。4.オルフェの詩 ~ Pseudoclassic
この曲は夏バージョンに比べて、大幅にお洒落になったと思う。
Pseudoclassicとは、擬古的なということです。チェンバロなんか使って
るけどサビなどJazzyな部分もあるのでそうしました。
擬古的というのをギコ的と表記すると、かなり嫌(^^;。
オルフェというのはオルフェウスの事です。曲とは関係ありません(ぉ5.新幻想 ~ New Fantasy
この曲が一番古い曲です。今年の1月に創りました。
まだ、ゲームのゲの字も無かった頃ですね(^^;
ちょうど新世紀がセンセーショナルだったので、こんな曲名。
いや、そんなに大げさな曲じゃないんだけど(笑)6.オルレアンの聖騎士
この曲が結果的に一番キャラに合ったのかも知れない。
midi 版はともかく、wav 版はロマンティックな曲になっています。
うそ、なっていません。
曲名の聖騎士とは、言うまでもなくジャンヌ・ダルクのことです。
「フラッシュソード!」とかいう、足癖の悪い女王様です。7.My Maid, Sweet Maid
私の女中、甘い女中よ。
メイドって甘いのでしょうか。炊事洗濯、水仕事ばっかであんまり
おいしくないんだろうなぁ。残念。
狂牛病も草食を無理矢理肉食に変えたせいだって言うから、私も気を
付けないと。(なんの話だ?)8.桜花之恋塚 ~ Flower of Japan
「おうかのこいづか」と読みます。純和風ですよ、いや、準和風かな?
どのみち、私は東方某を謳っていたくせに、創った東方曲は実は数が少なかっ
たりして貴重です。
そもそも、軽快な雰囲気の曲も珍しい。New Age 寄りな一曲。9.乙女戦士 ~ Heart of Valkyrie
乙女戦士はヴァルキリーです。お得意の一曲で、もっとも私らしい曲です。
って、こんな曲をお得意としているのもなんだな(^^;
これを聴くとFM時代からなんにも変わっていない自分に気づきます。
やっぱボス戦大好き(笑)
対戦STGという性質上、ボス戦が少ないからなぁ。10.エニグマティクドール ~ God Knows
ラスボスっぽいっかつーと、76%位ラスボスな感じ。
ピアノアドリブが大好き。でも、この曲のサビは今までの私の曲では珍しい
メロディかも知れない。
ここで言う「エニグマティクドール」とは、直訳すると不思議の人形、
まぁ、呪術人形のつもりで。
とまぁ、駆け足で裏コメントです。
■3.妖怪萌え
さてさて、関係ないですが(ありますが)1キャラだけ絵柄が違う幽香と言う
キャラは、実は昔私が創っていたSTGの東方幻想郷のラスボスであり、東方
怪綺談のプレイヤーキャラの一人です。
妖怪です。ええ。妖怪萌え~。
全然東洋風っぽくないのは、妖怪だからです。ええ。妖怪萌。ちなみに、レベル1溜打ちの萌風を10人中10人は「もえかぜ」と
読むだろうなぁ、と思いつつ。
妖怪出ないかなぁ。うちの部屋とか、仕事場とかに。
巫女さんでも可。ちなみに幽香は、怪綺談エキストラEDのあと、予定通り究極の魔法と言う物
を拾得しました。それが何なのかは作者も知りません。きっと萌える物に違いあるまい。萌ぇ~。
■4.What is Game Music. ~ VGM幻想その昔、どこのCD屋でも隅に置かれるジャンルのCDがありました。
そのジャンルは表舞台に出てこなかったのです。
それは恐らく、音楽のジャンルではなかったからなのでしょう。- ゲームミュージック -
その昔、「ゲームミュージック」という音楽ジャンルがありました。
数多くの「ゲームミュージック」が生まれました。専門的な勉強をしていなかったが故に、新しいジャンルの片鱗を見せたものも
ありました。ハードの限界により新しい演奏技術、表現方法も生まれました。
決して、ゲームで使われてた、と言う意味ではなく、聴いたことがない音楽も
存在していた。そう、そこには未成熟なジャンル「ゲームミュージック」という音楽ジャンルが
確かに存在していたように思えるのです。
- Future of Game Music -ハードの進化により、どのような音も出せるようになりました。
歌わせることも出来るようになりました。それと同時に「ゲームミュージック」というジャンルの曲は、フェードアウト
してしまうのでしょうか。-ありえないコード進行、生演奏で再現できないパート、
音楽のジャンルから外れる曲が素人の曲というならば、
私は迷わず素人の曲を目指すでしょう
ZUN
とか言ってみたいね(ここで言ってるって)(笑)
最近なかなかいいゲームミュージックと言うのを聴いていないような気がする。
いつか「ゲームミュージック」という音楽ジャンルが独立して、その意味は、
その昔、よくゲームで使われていたのが由来。って言われる事を夢見て。ゲームで使用している曲ジャンルと言えば、
1位 ライトクラシック風/民族風 (RPGに多い)
2位 ポップ風 (RPG、エロゲに多い)
3位 ロック風 (アクションに多い、か?)
次点 ダンス風 (最近多い)
(妄想調べ)という感じがする。はてさて、どの曲も私はあんま聴かないんですねぇ。
私の最大のポリシー(目的)は、フュージョンがジャズとロックのフュージョン
(融合)ならば、まだ認知されてない「ゲームミュージック」というジャンルと
フュージョンのフュージョン、「ゲームフュージョン」を創りたいところ。東方時代からジャズフュージョン好きだったので、ゲーム風にアレンジして
曲を創ってます。今回も、ゲームでも、普通にもあんま聴いたことのない様な
不思議なノリになってます。激しくて、STG好きには最適だといいなぁ。これからもこういう曲調で行きますよ、きっと。
■5.あとがきのおわりに
さてさて、実は今回私は個人で冬コミに申し込んでいたのですが、運良く落ちて
しまいました。仕事の方が危険な状態にあって、今回の稀翁だけでもぎりぎり
だったので、助かったなぁと(^^;そんなわけで、来年の夏にもう一度申し込んでみようかなと思っています。
ジャンルは同人音楽の方ですが、ちょっとでも興味があって気が向いたら
探してみてくださいm(__)m
東方(FM音源)時代からの音楽CDです~。と、宣伝。私のHPです。曲の感想とか、こっち気軽に書き込んでみてください~。
東方幻想空間 「博麗神社」 http://www16.big.or.jp/~zun/
zun@big.or.jp
それでは、幻想の世界でまた合いましょう~。
そいえば、プロギア、2-5でやっぱり詰まってる。でも、あんだけ避けを
楽しめるゲームを見ると、私もSTG創りたくなるなぁ。こっそり、STG新作つくろうかなぁ(割と本気)
タイトーに入っても色褪せないZUNのゲームミュージックへの思いが垣間見える文ですね。東方靈異伝の永遠の巫女や封魔録五面の道中曲であるひもろぎ、むらさきにもえを作った頃から何も変わっていません。
現在頒布されている蓬莱人形の冒頭で述べている一昔前の「アーケード世代のゲームミュージック」というものはこの時点で構想されていたのでしょう。
他に眼に入るのは~ Alice in Shanghai Landでしょうか。自明と言ってもよいほどに上海幻夜の文脈が載った言葉です。
ここは上海、魔法の都市だ。阿片の煙と雲が棚引きき、あらゆる場所に流れ込む。だからすべての人々が阿片の夢を見る・・・
まさしく上記で引用した上海幻夜冒頭の下りからZUNが連想した言葉でしょう。*2
さらに言及するならばZUNがこの半年後に出す蓬莱人形や夢違科学世紀でアレンジ、もしくは新規曲として作り直されたであろう曲でしょうか。
蓬莱人形ではさらに暗くアレンジされたエニグマティドールに関しては西方のZUNのおまけテキストファイルで言及されているように不思議な人形の曲であり、蓬莱人形においては下記のように言及されており、西方と蓬莱人形版の曲のベクトルとしては近い物になっていますし、ぽんち氏が出している幡紫竜の薄い本において言及されている黒ミューズの黒いマントもこの文脈の一部ではあるでしょう。
ああ、あの人形、どうにかして早く捨てたいのに。
だって、あの蒼い目。時折黒い鴉がくわえて持って
っちゃうのよ? あの目は本物の目よ。
いつも、私が新しい目を入れるんだから。
桜花之恋塚に関してはZUN本人もNew Ageというような曲です。東方幻想的音楽においても幽夢を奇妙な曲として言及し、東方幻想郷のMusic Roomではなんか、かっこよく出来たかな~といいながら幽夢を作曲してた彼がそう言うのですから既存の東方文脈から見ればまぁ異端でもありますし、JAGMOのオーケストラ講演である夢幻繚乱花で春の湊にの後に差し込んでも違和感のない曲ですしね。
稀翁玉ではエーリッヒのテーマとして用いられたMy Maid,Sweet Maidもそうです。Ver1.003はmidiが無いため私はmidi版で聞くことができませんがwavを聞く限りは夢違科学世紀において新規曲として収録していた科学世紀の少年少女に酷似しています。*3
これに関しては実際聞いてみた方が早いでしょう。私も聞くまではこんなそっくりな曲が存在すると思っていませんでした。
蓬莱人形に収録された二曲に蓮台野夜行において収録された魔法少女十字軍*4、夢違科学世紀で収録された幻想機械やMy Maid,Sweet Maidと永夜三部作に西方などで作曲した曲を並べた構想でもあったのだろうか、そう思うような曲目ではあります。
また、そのような構想*5が見え隠れする蓬莱と秘封の合計三作、長いのでZUN's music collection初期三部作ないし初期CD三部作とでもしましょうか。
当該三部作において収録された幻想機械は前曲に夢と現の境界を前座においた曲となっており、ブックレットにおいても相対性精神学やら云々と言及しており、秋霜玉のラスボスであるエーリッヒの娘ないしVIVIT-Capturedに対する一種の答えでもあると私は思います。
彼女を現実に戻したVIVIT達と夢であると強く意識して、ひみつを暴き続けた彼女達という形です。ある意味では科学世紀と彼女たち、機械に閉じ込められた彼女とそれを助けたレプリカという類似構造なのかも知れません。
3.仙人掌の食後
まぁそんなつらつらと書き連ねましたが何を言いたいかといいますと、稀翁玉の創曲幻想のテキストはインターネットの海に、Yahoo!ジオシティーズやらと共に消えたミッシングリンクであると言うことです。
この記事を書く前に任意のフォロワーとこれについて話していたわけですが通じる人間自体は少ないモノの貴重な資料であると一緒に騒いでいました。
彼の知り合いの考察勢や竹本泉やらから東方に来たフォロワーなどに見せても面白い反応を見せていましたし、実際問題共有されていなかった、もしくは埋もれていた機知でありながら未知に成り下がった資料だったのでしょう。
この言葉を使うのは余り好きではありませんが、一種の幻想入りをしていたわけです。
上海幻夜の言を借りるならば回転するたび、万華鏡のように姿を変える上海であったものです。
この方ですら海外wikiで数回しか見たことがないと言っていたものですから。
稀翁玉のミューズは岡崎夢見をさらに強くした感じなので倒せる気がしないんですけどね!!!グレイズでチャージを貯めていくSTGであれはダメだよ。*6